4月から塾を始めて約4か月。
最初は生徒2人からのスタートだった。
開塾したばかりの頃は、全く授業をしない日がけっこうあった。
だって、がんばって授業準備をしても生徒がいなかったから。
朝、塾に来て、掃除をして飲み物の準備をして、
とりあえず授業準備をして、
そしてそのまま誰も来ない。
ずーっと1日中、塾の中で一人ぼっちだった。
夜、誰もいない教室で、一人で窓の外を見ながら、
「自分は数学を教えたいのに、いったい何をやっているんだろう」
とよく思ったものだった。
どれだけ授業の準備を一生懸命しても、
どれだけ塾の中をピカピカにしても、
生徒がいなければ無意味だった。
そんなとき、以前勤めていた塾のある出来事を思い出していた。
その塾では自転車置き場があり、
たくさん生徒がいたので、
自転車がバラバラになっていることがあった。
私の尊敬する先生がバラバラになった自転車をキレイに並べながら、
「こうして自転車を並べられることに感謝しないといかん」
と言っていた。
その時は生徒がいることが当たり前だったので、
「確かにそうですね」
くらいにしか思っていなかった。
自分で塾を開き、生徒がほとんどいない状況の中、
その言葉の重みがようやくわかった。
開塾したての時、自転車は1台しか並んでいなかった。
そしてその1台は私の自転車だった。
あれから4か月、私は自分なりに必死で努力してきた。
そして少しずつ生徒は増えていき、
自転車がたくさん並ぶようになった。
時間があるとき、私は生徒たちの自転車をキレイに並べている。
以前とは全然違った感謝の気持ちとともに。
本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。
みんな、ありがとう。