私が大学生のとき、少し変わった行動をとる友達がいた。
コンビニやスーパーなどでお会計をするときに、
こちらがお金を支払う側なのに、
必ず店員さんに「ありがとう」と言うのだ。
毎回毎回。
色んな人がいるなー、と、そのときは思っていた。
数年後、私は社会人になった。
そして私は社会人になってから本をたくさん読むようになった。
ある時期は、日曜日に1日で5~6冊の本を読みまくっていた。
朝起きて、夜寝るまでずっと。
で、ある本にこんな内容のことが書いてあった。
数年経った今でも、ぼんやりと覚えている。
お金の単位は「円」だけど、本当は「円」ではない。
お金の本当の単位は「ありがとう」だ。
例えば、牛丼を食べたとする。
その牛丼にはたくさんの人の手間がかかっている。
お米を作る人、牛を飼育する人、出荷する人、運ぶ人、調理する人、など、
見えないところでたくさんの人が汗を流している。
そして最後に牛丼屋さんで牛丼になって出てくる。
だから、その人たち全てに感謝の気持ちを込めて、
最後に「ありがとう」というお金を渡すのだ。
だから、お金の単位は「ありがとう」。
この本を読んだとき、私は妙に納得した。
そして大学のときの友達が、
レジで毎回「ありがとう」と言っていた理由が初めてわかった。
今、私は塾を経営している。
月謝は手渡しなので、毎月生徒たちが月謝袋を私に渡してくれる。
よくよく考えたら不思議なことなのかもしれないのだが、
ほとんどの生徒は月謝袋を渡しながら、
「ありがとうございます」
と言うのだ。
そして、月謝袋をもらいながら、今度は私が「ありがとう」と言うのだ。
生徒
「ありがとうございます」
私
「ありがとう」
何か不思議な会話だよね。
しかしこの会話、お金の単位が「ありがとう」だと思うと、
とても素敵な会話に思える。
これからは「円」ではなく、「ありがとう」だと思ってみると、
もっと毎日が楽しくなるかもしれないね。