卒業おめでとう。
3年間、本当におつかれさま。
今日は、今まで頑張ってきたみんなに話しをするね。
よく、「過去は変えられない」って言うよね。
でも、実は過去は変えられる。
私は26歳のとき、塾を作って、つぶしたことがある。
東京に本社のある電機メーカーで働いていたのだが、
大学時代にアルバイトで経験した塾がやりたくてやりたくて、
お金があまりないのに、
当時貯金していたすべてのお金を使って、
大阪にたった1人で学習塾を作った。
毎日毎日休みも取らずに、ただただ一生懸命に仕事をした。
目の前の生徒たちのことを想って。
でも、どれだけがんばっても、
全然うまくいかなくて、お金も全部なくなって、
そして心を病んでしまって、
塾を閉めることになった。
お金も全部なくなり、仕事も全部なくなり、
私には何もなくなってしまった。
狭い部屋にたった1人で閉じこもり、
「自分は生きている価値がない」
と思っていた。
それでも生きていかなければならないから、
何とか再就職をして、
ギリギリの生活を続けていた。
ようやく人並みの生活ができるようになり、
精神面も正常に戻ったけど、
塾を作ったときのことは絶対に思い出さないようにしていた。
私の人生を狂わせた元凶だったから、
思い出したくなかった。
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あれから数年が経ち、
私は尾道で学習塾を作った。
今、あの頃のことを振り返ってこう思う。
「あのとき塾を作って、失敗してよかった。」
当時の失敗があったからこそ、
今、こうしてたくさんの生徒たちに囲まれることができている。
あのときなんで上手くいかなかったのか、
尾道に塾を作る前にたくさん考えた。
そして、上手くいかなかった多くの理由がわかった。
だから今回はそうならないようにした。
失敗から多くのことを学んだから、
今日もこうして楽しく生徒たちに数学を教えることができている。
26歳のとき、私が塾をつぶしたという事実は変わらない。
以前の私はその事実を不幸なことだと思っていた。
でも、今の私はその事実があって本当に良かったと思っている。
同じ過去なのにね。
何が言いたいか。
今の自分が、過去の自分をどう思うかで、
過去は変えることができる。
過去を変える方法の1つは、
今の自分が幸せであること。
今回の受験で、
自分の行きたい大学に合格できた人、
自分の行きたい大学に合格できなかった人、
いろいろな人がいると思う。
悔しくて泣いた人もたくさんいるだろう。
でもね。
大事なことは、自分の選んだその道を一生懸命に生きることだよ。
自分の行きたかった大学に行けなかったとしても、
その大学で一生懸命がんばれば、
「この大学に来てよかった。」
と思えるようになる。
逆に、自分の行きたかった大学に行ったとしても、
ダラダラ過ごしていたら
「こんな大学に来るんじゃなかった。」
と思うようになる。
だから、大切なことは、今を一生懸命生きること。
今が充実しているなら、
過去の自分を全部認めてあげることができるから。
だから、“今”を一生懸命に生きようね。
あなたたちの“今”が、
どうか幸せでありますように。