宮崎興治の生徒に!保護者へ!塾内日誌!

BLOG【阪田】共通テストの振り返りからみえるもの

2022.03.12

新学年への進級に向けて、英語の共通テストの振り返りから。

 

センター試験から共通テストに変わり、2年が過ぎました。様々な科目で変更がありますが、特に英語は変化が大きい科目となりました。

特に保護者の方は、ご自分が経験されたものとは大きく異なっていて驚かれるかもしれません。ぜひ一度、問題に目を通してみてください。文法の問題は姿を消し、圧倒的な長文量とイラストや図表舞い踊る共通テストは、それが良いか悪いかはともかく、これまでとは大きく異なるものになっています。であればこそ、対応する方法も変わっていかなくてはいけません。

共通テストが求める力に合わせて、必要な学習を組み立て直していく必要があります。

旧来的な学習方法が悪い、ということではありませんが、問われる内容が変わっているのであれば、それに合わせて対策が必要です。

新しい葡萄酒は新しい革袋に。

 

そして、そうした変革のさなか、不変的な基礎力とはいったい何なのか。

揺ぎ無いものを見つけ、揺ぎ無い力を身に付けるためには、何が必要なのか。

 

 

【リーディング】

大問数は6題で昨年度と同様でしたが、総語数は若干増加していました。問題文のタイプは昨年度や試行テストから変化はありますが、基本的に同傾向で、図表やグラフ、イラストが盛り込まれ、複数の情報ソースから本文の情報を処理していくような問題が多く見られました。文法・語法などの知識を直接問う問題ではなく、本文の情報整理や、スピーディーに解答根拠を特定する力が要求されています。様々なタイプの文章を平素から読み慣れている必要があり、いわゆる実践的な英語読解力を養っていくことが重要となっています。

 

試行テスト、昨年度の問題からみるに、旧来的な文法や解釈の力とはまた別方向の英語力、英語長文の情報処理/情報整理力が問われています。基本的文法や解釈は基礎力として身に付けておく必要がありますが、それに終始せず、より実践的な力を養うようにしたいところです。

なるべく早期に基本的な文法・解釈を終えておき、しっかりと長文の演習量を確保しましょう。ここでの文法とは選択式問題ではなく、根幹を問うような整序問題・英作文問題を指します。文章のレベル的には教科書程度のものなので、平素の学習から音読・シャドーイングを習慣として徹底して組み込んでおくことが重要です。

また、スピーディーな情報処理に欠かせない単語力・熟語力のため、ボキャブラリーの増強に徹底的に取り組み、語義をスムーズに取り出せるだけの盤石な語彙力をできるだけ早いうちに養成しておきましょう。

 

【リスニング】

大問数は6題、形式、難易度ともリーディング同様昨年度並みでした。1回しか音声が流れない問題や、イラスト・図表などを参照して解く必要のある問題など、様々なヴァリエーションをつけて聴解力が問われる問題となっています。また選択肢の読解力も求められています。平易なものとはいえ、限られた時間内にスピーディーに選択肢の意味・設問の意図をつかむ必要があります。

 

第4問Aの状況設定にのって情報整理をしていく問題や、第4問Bの複数の情報を表を使って整理する問題、第5問のワークシートの空所を埋める問題など、工夫をこらした設問となっています。

また第6問は4人の比較的長い対話を聴き取る問題で、1回聞きであることも相まって、難易度が高めです。アメリカ英語話者だけではなく、イギリス英語話者やおそらく日本人であろうノンネイティヴ話者も混ざっていて、平素から様々な種類の英語音声を聴くことが要求されています。

 

平素からリスニングに取り組むことで英語に聴き慣れておくことに加えて、同タイプの問題に十分量取り組み、形式慣れ・解き慣れをつけておくことも必要です。

高1高2の段階から英検®2級・準1級などに向けて早い段階でリスニングに対する意識を高く持ち、音声としてのインプット量をしっかりと確保しておきたいところ。意識しておかないとどうしても音声無しの学習に終始してしまうので、必ず音声と合わせて学習することを習慣づけておきましょう。

また受験学年においては、共通テスト形式の演習に取り組み、共通テスト英語リスニング特有の問題形式に慣れ、実戦的な解き慣れをつけ、自分の苦手な形式を強化していくことを意識しておきましょう。

 

 

【ここから本題です】

英語、中学校までは得意だったのに、高校に入ると苦手になってしまった~という人が散見されます。同じものをこなしていても、明確に差がついてしまう。

そうした人に共通してみられるのは「詰めの甘さ」です。

ある程度の出来で満足してしまう。

問題さえ解ければ音読やシャドーイングなどの音声を伴うトレーニングをやらない。

文の復元や暗唱まで到達していない。(そもそも必要だと思っていない)

単語・熟語の定着レベルが低く、単語テストはなんとかなっても、反射的にリコールできるまでにはなっていない。

などなど、「このくらいでいいか」の罠に多くの人が引っかかってしまいます。

 

英語は頭脳的なトレーニングです。筋トレや部活動と同様に、日常的な徹底反復が重要です。短期間では力が伸びていかないため、成果が見えづらく継続しにくいものです。だから苦手な人の多くは、短期的に成果の見える他科目や文法(選択式文法問題)に逃げてしまいがちですが、そうするといつまでたっても力は伸びていきません。

 

当たり前のことを徹底的に。

 

それこそが英語の王道ですが、たくさんの人が、他に抜け道があるのではないか、何か裏技があるのではないか、と右往左往してしまう。そしてその間に取返しのつかないほどの差が生まれてしまいます。

 

とくに標準レベルにおいて、共通テストレベルにおいて、王道こそが最効率です。

 

たくさん文章を読んでたくさん音読をする。

たくさん文章を聞いてたくさんシャドーイングをする。

たくさん文を覚えて、パッと見てわかる語彙を増やしていく。

 

僕自身、帰国子女でもなければインターナショナルスクールに通っていたわけでもなく、広島県は呉の片田舎で周囲にネイティヴがいるわけでもない、そんな環境で勉強をしていました。

英語ができるようになったな、と感じたのは、徹底的に音読とシャドーイングをただがむしゃらに続けた後のことでした。中2の終わりくらいからただひたすらそれを続けて、気づけば高1で英検準1級、高3の全統記述模試で偏差値80を取っていました。高3になってからは取り立てて英語の勉強はしていませんでしたが、センター試験では200点満点でした。何か魔法のようなテクニックがあったわけではありませんが、振り返ってみれば、継続こそが魔法だった。熱中して没頭して無我夢中で取り組んだ3年間が、今でも大きな糧になっています。

 

いま指導者となった立場からすれば効率の悪い部分もありますし、すべての人が英語に全振りできるわけでもないので、まったく同じことを勧めることはないですが、それでも、盤石な基礎力を身に付けるために必要なことは変わらないと思います。

 

どうか、努力を続けることをあきらめないで。

数年後に必ず実る果実を楽しみにして、わくわく没頭しながら学習に励んでほしいと、そう思っています。

 

【本日の一冊】 

山本弘『詩羽のいる街』

 

≪あらすじ≫

あなたが幸せじゃないから──マンガ家志望の僕は、公園で出会った女性にいきなり1日デートに誘われた。確かにいっこうに芽が出る気配がない毎日だけど……。彼女の名前は詩羽。他人に親切にするのが仕事、と言う彼女に連れ出された街で僕が見た光景は、まさに奇跡と言えるものだった! 詩羽とかかわる人々や街が、次々と笑顔で繋がっていく。まるで魔法のように──幸せを創造する詩羽を巡る奇跡と感動の物語。

 

≪一言≫

「もしもお金を持たずに生きていくことができたら」そんな、<すこし、不思議>なSF。高校生におすすめ本を10冊上げろと言われたらほぼ必ず選んでしまうお気に入りの一冊。だまされたと思って第1話だけでも読んでほしい。気づいた時には爽快感と共に読み終わっているはず。悪意に満ちた世界に絶望しそうなときに、善意の可能性を感じさせてくれる一冊です。

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